会議の議事録をAIで自動化する方法|手順とコツを解説
議事録のAI自動化とは、会議の録音をAIが文字起こしし、決定事項などの形に自動で整理することです。「会議のあと、議事録づくりに毎回1時間かかる」——そんな悩みは、AIでほぼ解決できます。この記事では、録音から仕上げまでの4つの手順を、AIへのお願い文の実例つきで解説します。特別なソフトは要りません。今日の会議から試せます。
議事録づくりは、多くの会社で「時間を取られるわりに、誰がやっても同じ」作業の代表格です。だからこそ、AIに任せる効果がいちばん出やすい仕事でもあります。当所の研修でも最初に教える定番で、参加者がいちばん効果を実感しやすいのがこの議事録の自動化です。では、順番に見ていきましょう。
議事録のAI自動化とは(全体像)
議事録のAI自動化とは、会議の録音をAIが文字起こしし、決定事項などの形に自動で整理することです。作業は大きく4つの工程に分かれます。まずは全体像をつかんでおきましょう。
4つの工程の流れ
ポイントは、手のかかる①②③がほぼ自動で進み、人がやることは最後の④の確認だけになる点です。これまで毎回1時間かかっていた議事録づくりが、実質確認の5分で終わるようになります。とくに効くのは、これまで「会議のあとに、もう一度録音を聞き直して清書する」という二度手間がまるごと消えることです。会議中は議論に集中でき、終わったときにはもう議事録の下地ができている——この差は、会議が多い会社ほど大きく効いてきます。
全部「無料で始められる」「1回の会議で試せる」
うれしいのは、この4工程がすべて無料で始められること。録音はスマホの標準アプリ、文字起こしも無料で使える方法があり、整形に使うChatGPTやClaudeなどの生成AIにも無料で使える範囲があります。しかも、大がかりな準備は不要で、次の1回の会議からすぐ試せます。まずは差し支えのない社内会議で、1回まわしてみるのがおすすめです。
手順1:会議を録音する
まずは会議を録音します。ここでの良し悪しが、あとの文字起こしの精度を大きく左右します。とはいえ、難しいことはありません。
道具はスマホで十分
専用のICレコーダーは要りません。スマホの録音アプリで十分です。多くのスマホに最初から入っている「ボイスメモ」などで、そのまま録れます。新しく何かを買う必要はないので、思い立ったその日から始められます。
参加者への断り方(例文)
大切なのは、録音の前に参加者へひとこと断ること。無断で録るとトラブルのもとになります。次のような一言で十分です。
オンライン会議なら、会議ツールの録画機能を使う方法もあります。いずれの場合も、録音することを全員に共有しておきましょう。
録音のコツ
音がきれいに録れているほど、文字起こしの精度は上がります。次の2点を意識するだけで、仕上がりが変わります。
- マイク(スマホ)は発言者の中央に置く。全員の声が同じくらいの大きさで入る位置が理想です。
- 雑音の少ない場所を選ぶ。エアコンの真下や、人の出入りが多いドア際は避けます。
手順2:AIで文字起こしする
次に、録音した音声を文字起こしします。文字起こしとは、話した言葉を文章に変換することです。いまはAIが自動でやってくれます。この時点では、まだ「話し言葉がそのまま並んだ状態」で構いません。整えるのは次の手順です。
無料で始められる方法の比較
文字起こしにはいくつかのやり方があります。代表的なものを、無料で始められる範囲で比べると次のとおりです。
| 方法 | 特徴・向いている場面 |
|---|---|
| スマホの標準機能・録音アプリ | いちばん手軽。まず試すならこれ。短い会議やメモ代わりに向く。 |
| 文字起こしサービス (CLOVA Note・Nottaなど) | 「誰が話したか」の話者分けが得意。参加者が多い会議で読みやすい議事録になる。 |
| オンライン会議ツール (Zoom・Teamsなど) | 標準の文字起こし・レコーディング機能を使える。オンライン会議ならこれが手早い。 |
※各サービスの無料で使える範囲は変わることがあるので、使う前にそのつど確認してください。
選び方の目安
迷ったら、次の3つで選べば十分です。
- 対面の会議か → スマホの録音アプリで録って文字起こし。
- オンラインの会議か → 会議ツールの標準機能をそのまま使う。
- 話者を分けたいか(誰の発言か残したい) → 話者分けが得意な文字起こしサービスを使う。
手順3:AIで議事録の形に整える
文字起こしができたら、その文章を生成AI(ChatGPTやClaudeなど)に渡して、議事録の形に整えてもらいます。ここが自動化のキモです。ポイントは、「どんな形にしてほしいか」をはっきり伝えることです。
基本のプロンプト
AIへのお願い文(プロンプト)は、たとえば次の1文で十分に使えます。
このお願い文に続けて、手順2の文字起こしを貼り付けるだけです。すると、だらだらとした会話が、上の3項目にきれいに整理されて返ってきます。たとえば「じゃあ次回までに見積もりを…」という何気ないやりとりが、【宿題】田中さんが次回(6月20日)までに見積書を提出のように、担当者と期限つきで抜き出されて返ってきます。項目は御社の会議に合わせて変えて構いません(例:「議題ごとの結論」「次回の日程」など)。当所の研修でも、この整形結果を初めて見た方が「これだけで清書がいらないのか」と驚かれるのが、いちばん多い反応です。
用途別のプロンプト2つ
基本の形に慣れたら、目的に合わせて次の2つも使ってみてください。同じ文字起こしから、まったく違う成果物が作れます。
①は「誰が何を言ったか」を残したい商談などに、②は会議のあとそのまま相手にメールしたいときに便利です。
長い会議の扱い
1〜2時間の長い会議だと、文字起こしが長すぎて一度に渡せないことがあります。そのときは、文字起こしを前半・後半に分けて渡し、それぞれを整形してから最後に1つにまとめれば大丈夫です。「これは前半です。まだ続きます」と一言そえて渡すと、AIも途中だと理解して整理してくれます。
手順4:人が5分で確認する
最後に、人が5分で確認します。AIは便利ですが、「もっともらしい間違い」(ハルシネーションと呼びます)をすることがあるからです。全部を読み直す必要はありません。
確認する3点
次の3点だけ、目を通せば十分です。
- 名前:担当者の取り違えがないか
- 数字:金額・期限・日付が合っているか
- 固有名詞:社名・商品名の表記が正しいか
| これまで | AI自動化後 | |
|---|---|---|
| 作業時間 | 毎回およそ1時間 | 確認の5分だけ |
| 人がやること | 聞き直し・清書・整形 | 名前・数字・固有名詞の確認 |
これで議事録は完成です。会議が終わって席に戻るころには、もう議事録ができている——そんな状態を目指せます。
間違いやすい例と、その防ぎ方
AIの文字起こしがつまずきやすいのは、方言・専門用語・同音異義語です。「行かず(いかず)」を「以下ず」と変換したり、社内独自の略語を別の言葉に置きかえたりします。これは、整形をお願いするときにあらかじめ正しい情報を渡しておくことで、ぐっと減らせます。
会議の種類別・使い分けのコツ
同じ議事録の自動化でも、会議の種類によって気をつける点は少し変わります。よくある3種類の使い分けをまとめました。
使い分け早見表
| 会議の種類 | 使い方のコツ |
|---|---|
| 社内定例 | 基本プロンプト(決定事項・宿題・持ち越し)でほぼ十分。テンプレとして保存しておくと毎回すぐ使える。 |
| 商談 | 「宿題と期限」を重点的に整理。用途①の発言者ごとのまとめも有効。社外秘・個人情報の扱いに注意。 |
| 現場打ち合わせ | 騒音対策(マイクの位置・静かな場所)が最優先。要点はキーワードだけ手元メモを併用すると取りこぼしが減る。 |
商談・現場で特に気をつけること
商談では、決まったこと以上に「誰が・いつまでに・何をするか」があいまいになりがちです。整形のときに「宿題は担当者と期限をセットで書き出して」と一言足すと、あとで追いやすくなります。あわせて、商談の議事録はそのまま社内共有や次回の準備に使えるよう、用途①の「発言者ごとのまとめ」で相手の要望を整理しておくと便利です。現場打ち合わせは、そもそも音が拾いにくいのが最大の敵です。屋外や機械音のある場所では、録音に頼りきらず、その場でキーワードだけメモしておくと、文字起こしが多少崩れても内容を復元できます。決まった寸法や数量などの数字は、口頭だけでなくその場でメモに残しておくと、確認の手戻りが減ります。
セキュリティの注意点
便利な一方で、情報の扱いには気をつけたい点があります。3つに整理しておきます。
録音の同意を取る
手順1でも触れたとおり、録音は参加者の同意を得てから行います。とくに社外の人が入る会議では、「議事録のために録音してよいか」を最初にひとこと確認しましょう。ここを飛ばすと、あとで信頼を損なうことがあります。
社外秘・個人情報を含む会議は先にルールを
社外秘の内容や個人情報を含む会議は、文字起こしに入れる前にルールを決めておくことが大切です。お客様の個人情報や、取引先との契約金額などをそのままAIに入れるのは避けましょう。まずは社内の定例会議など、差し支えのない会議から始めるのが安全です。入れてよい情報・いけない情報の線引きは、AI導入で最初にやるべき3つのことのステップ3や、よくある質問のセキュリティの項目でも解説しています。
無料サービスの設定を確認する
無料の文字起こしサービスや生成AIを使うときは、入力した内容がAIの学習に使われない設定・プランになっているかを確認しておくと安心です(細かい条件はサービスごとに変わるため、そのつど最新の案内をご確認ください)。AIそのものの得意・苦手を知りたい方は AIとは?のページ もあわせてご覧ください。
まとめ・よくある質問
- 議事録のAI自動化とは、会議の録音をAIが文字起こしし、決定事項などの形に自動で整理すること。工程は録音→文字起こし→整形→確認の4つ。
- 手順1:スマホで録音。参加者へのひとことの断りと、マイクの位置・静かな場所を意識する。
- 手順2:無料で始められる方法で文字起こし。オンラインは会議ツール、話者を分けたいなら文字起こしサービス。
- 手順3:AIに「3項目に整理して」と基本プロンプトでお願い。発言者ごとのまとめや報告文への書き直しも可能。
- 手順4:名前・数字・固有名詞だけ人が5分で確認する。
- 会議の種類で使い分け、社外秘の会議は入れる前にルールを決める。
導入チェックリスト
はじめての1回は、次の順にチェックすると迷いません。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 録音の同意を取る(参加者へひとこと) |
| 2 | ツールを選ぶ(対面ならスマホ、オンラインなら会議ツール) |
| 3 | 整形プロンプトを保存する(次回から使い回す) |
| 4 | 確認の担当を決める(名前・数字・固有名詞を5分でチェック) |
よくある質問
Q無料でもできますか?
はい、できます。スマホの録音アプリは無料で使えますし、ChatGPTやClaudeなどの生成AIにも無料で使える範囲があります。まずはお金をかけずに、1回の会議で試してみるのがおすすめです。より長時間の会議や高い精度が必要になったら、有料プランを検討すれば十分です。
Q方言や専門用語は正しく文字起こしされますか?
だいたいは正しく文字起こしされますが、方言の細かい言い回しや、社内独自の専門用語・固有名詞は間違えることがあります。だからこそ最後に人が5分で確認する手順が大切です。よく出る社名や商品名などは、AIに整形をお願いするときに「正しい表記」をあらかじめ伝えておくと精度が上がります。
Qオンライン会議でも使えますか?
はい、使えます。ZoomやTeamsなどのオンライン会議ツールには、標準で文字起こしや録画の機能が用意されているものが多く、そのまま議事録づくりに使えます。書き出した文字起こしを生成AIに渡し、決定事項などの形に整えてもらう流れは対面会議とまったく同じです。オンラインのほうが一人ひとりの声を拾いやすく、精度が上がりやすい面もあります。
Q1時間の会議だと議事録づくりにどのくらい時間がかかりますか?
文字起こしとAIでの整形はほぼ自動で進むため、人が手を動かす時間は最後の確認の5分程度です。文字起こしや整形の処理そのものには数分かかりますが、その間は別の作業をしていて構いません。これまで毎回1時間かかっていた議事録づくりが、実質5分の確認だけになる、というのが当所の研修でいちばん実感されるポイントです。